プレスリリースの届け方の方針を決めよう
プレスリリースの届け方についての方針を決める
「自分の会社ではどうしてプレスリリースを出すのか」ということについて理解したら、次のステップでは具体的な方針を決めていきましょう。
つまり、実際に手を動かすまえに、
「どのようなニュースを」
「どれくらいの頻度で」
「どうやって届けるのか」
を因数分解していきます。
まず、どのようなニュースを届けるのか。
新しいサービスや商品についてのリリースのほか、あなたの会社にとって効果的な広報をするためには、どのようなニュースをプレスリリースとして発表すればよいでしょうか。
たとえば、先進的な企業というイメージを浸透させたいなら、
自社のユニークな社内制度や福利厚生の内容を発表してみると反応があるかもしれません。社会において価値のある企業だということを積極的に伝えたいなら、CSR(corporate social responsibility=企業の社会的責任)に関する取り組みをリリースにするといいでしょう。
「自社が実際にどのような企業であり、今後どんな姿に見られたいか」を念頭に置き、採用部門等とも連携しながらリリースの内容を考えるとヒントが生まれてきそうです(ネタ集めについては、別の記事でも取り上げる予定です)。
次に、どれくらいの頻度でプレスリリースを発表するのか。
ただやみくもにリリースを連発しては、社会にもメディアにもいいイメージは持たれません。
特に、忙しい日々を送るメディアの方に対してニュースバリュー(報道に値すると認められるニュースの重要性や価値)のあまりにも小さいリリースを送り続けることは、自社の価値を下げてしまいかねない悪手と言えるでしょう。
リリースの大量発表は、やる気がみなぎる新人広報の方ほど陥ってしまいがち。
広報のプロフェッショナルとして仕事をするのであれば、業務の中で「メディアはどのようなニュースを欲しているのか」という視点を身につけていくべきです。
ただ、数ヶ月に一本程度のペースでしかリリースを発表しないというのも、広報のインパクトが小さくなってしまうというもの。
正直、リリースの頻度に関しては「これが正解」という答えはありません。
自社にとってベストな数はどのくらいか、広報担当者としてプレスリリースの作成や配信にどの程度リソースを割くことができるのか……
総合的に判断した上で、おおよその目安を決める程度に留めておくのがよさそうです。
どうやってプレスリリースを届けるのか。
プレスリリースの届け方には大きく分けて、メディアに直接届ける方法とプレスリリースサイトを利用する方法があります。
これらは両輪で走らせるのが通常ですが、それぞれのメリットは何でしょうか?
メディアに直接届けるメリットは、プレスリリースサイトを利用する場合よりもニュースとして取り上げてもらえる可能性が大きくなるということ。
ただ、「メディアキャラバン」などを通して、事前にメディアや記者さんと面識を持っておく必要があります。
メディアキャラバンとは
メディアキャラバンとは、メディアや記者さんに直接アポイントをとり、情報提供や関係構築のために訪問すること。メディアや記者さんのニーズや興味関心、日中のスケジュールなどを知ることができる機会でもあります。あなたの会社は、どのメディアに取り上げられれば影響力がより大きいでしょうか。
また、あなたの会社が取り上げられたいメディアは、どんな情報を欲しがっているでしょうか。
常日頃からそれを理解しておくために、メディアキャラバンは重要です。
プレスリリース配信サイトを利用するメリットは、メディアとのコネクションがない状態でも、配信サイトが提供するリストから複数のメディアにリリースを届けられること。
配信されたプレスリリースは大手情報サイトやニュースサイトに掲載・転載されることもあり、ネット上で情報が拡散されることが期待できます。
プレスリリースをメディアに直接届けたいのであれば、普段の広報活動の中で、メディアや記者さんとの関係性の構築をおこなっていきましょう。
プレスリリース配信サイトを利用する際は、各配信サイトの利用料金や特長などを比較し、自社にとってベストな選択肢を探ってみましょう。
なぜプレスリリースを出すのか
プレスリリースの意味を考える
“広報の仕事” として真っ先に思い浮かんでくる業務といえば、「プレスリリースの作成」。
プレスリリースとは、
「企業についてのニュースや新サービス・新商品に関する情報をメディアに向けて発表する文書」
のこと。
広報の基本中の基本といえる仕事です。
広報担当者がいない企業では、PR会社にプレスリリース作成の代行を依頼するところもあるほど。広報になると決まったとき、「プレスリリース 書き方」と検索してみた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、「どうやって書くのか」はとても大事。
でも、まずは「なぜ書くのか」という前提の部分について考えてみてください。
そもそもあなたの会社では、どうしてプレスリリースを出すのでしょうか?
すぐに答えられるようであれば、次のステップへ進んで、実際にプレスリリースを書いてみることをおすすめします。
「私はこう思うけれど、社長(or ほかの広報担当者)がどうかはわからない」という人は、ちょっと待って!
社内で「なぜ」が共有できていないようであれば、今週中にでも整理するための時間を設けてみてほしいのです。
多くの企業では、メディアに取り上げてもらうことによって、企業やサービスにとってポジティブな効果が得られることを期待してプレスリリースを出します。
あなたの会社に置き換えて考えるときは、それぞれについてもう少し深掘りしてみるといいと思います。
「どんなメディアに」
「どんなふうに取り上げてもらい」
「どんな効果を得たいのか」
ということを、広報に関わるメンバー全員でシェアしてみましょう。
「とりあえず月2本か3本くらいは……」
というふんわりとした数字目標だけを与えられている人は、かなり危ないサイン。
目標の数字に背景がないということは、どんなニュースをプレスリリースにするべきかという判断基準がないに等しいということ。
会社が健全に運営を続ける以上、プレスリリースを発表するべき新サービスのリリースや協業のニュースなどは、不定期的には入ってくるでしょう。
でも、それらがない月にはいつも頭を抱えてしまうことになります。
広報部門としての目標を達成するためだけに出すプレスリリースは、ムダな時間とお金を浪費するだけ。
1本のプレスリリースを書いてしかるべき相手に届けるには、それなりのコストがかかります。
「月に◯本のプレスリリースを出す」という目標を与えられている人、もしくは自分で目標を立てている人は、その理由までハッキリとさせてみてくださいね。
「うちの会社ではどうしてプレスリリースを出すのか」ということについて細かい部分まですり合わせができていれば、どんなニュースが効果的なプレスリリースになるかも分かりやすくなるはず。
この記事のミッションをクリアしたら、次は具体的な方針を決めることにチャレンジしてみましょう!
「全員広報」を実現するために
広報の悩み
「会社の中で広報のプライオリティが低く、依頼ごとが後まわしにされがち」
「広報とマーケが同一視されているなど、そもそも広報という仕事に対する理解度が低い」
これらは実際に、ベンチャーやスタートアップ界隈の広報のあいだでよく話題にあがる、鉄板のようなお悩みです。
また、ベンチャーやスタートアップ界隈では、専任の広報担当者が1名の
"ひとり広報"や、別の業務を抱えながら広報にたずさわる"兼任広報"がほとんど。
事業をスケールさせるための重要なポストでありながら、リソース不足に悩まされている方も多いのではないでしょうか?
"全員営業"という言葉がよく聞かれるようになりましたが、それなら広報だって、本来は"全員広報"であるべき。
社員の広報に対する意識を高め、協力してもらいやすい体制づくりを始めることが、ベンチャーやスタートアップの広報が踏むべき最初のステップと言えるでしょう。
この記事では、"全員広報"を少しずつ実現させるための始めの一歩となる考え方と、今日からできる具体的なアイディアをシェアします。
アイデアや課題の共有で人を巻き込もう
あなたの会社のコミュニケーションツールは何ですか? 現在だと、SlackやChatworkなど、ビジネス用チャットツールを使っているという方が多いかもしれません。
まずは、
広報まわりの出来事を全員に向けて共有する"情報発信基地"
を見つけましょう。
その場を使って、一日に一度は、広報についてのアイディアやニュースを発信するようにしてみてください。
朝会(朝礼)など、全員が顔を合わせる時間があるならそれでも◎
「今こんなことを考えている、やろうとしている」
というフローを全員に向けて発信することは単純でも効果的で、社内の協力やアドバイスが得られやすくなりますよ!
情報発信に対する社員の感度を上げよう
あなたの会社では、業界のニュースや競合の新サービスなどについての情報が、毎日のように飛び交っているでしょうか?
「もちろん!」
と答えることに少しでもためらってしまうなら、ぜひ試していただきたいことがあります。
それは、「クリッピング」。
クリッピングとは、テレビや新聞、雑誌、Webメディアなどに露出した自社に関連する情報を切り取っておくことで、広報としての必須業務ともいうべき仕事です。
ポイントは、
「まとめた情報に広報視点のコメントをプラスして社内に発信する」こと。
競合がリリースしたサービスと自社の類似サービスを比較したり、他社の面白い取り組みから自社に取り入れることができそうなエッセンスを抽出したりすることは、自分にとっても他部署の社員にとっても有益です◎
慣れてくると、毎朝30分もあれば、自社に向けたオリジナルの最新ニュースがまとめられるようになりますよ。
ちなみに、クリッピングには、「Googleアラート」というサービスが便利。
あらかじめキーワードを設定しておくと、該当ワードが含まれるニュースが自動的にメール配信されるので、ピンポイントでニュースを見つけやすくなります。
■Googleアラート https://www.google.co.jp/alerts
いつも「なにか良い情報をください」と言ってくる人と、よい情報を自らもってきてくれる人、どちらに情報を教えたくなるでしょうか?
いわずもがな後者…… ということは分かっていても、リリースネタをさがすことに血眼になるあまり、情報乞いをしてしまっている人も多いはず(かつて、筆者もそうでした)。まずは、「いつも有益な情報を分かりやすくまとめてくれる広報の○○さん」を目指しましょう。
“全員広報"を実現するための最初の下地づくりの段階では、こちらからの働きかけが何よりも大事。
どんな会社でも、明日から突然、全員が広報に対して協力的になってくれるわけではありません。
HARVESTでは主にベンチャーやスタートアップの広報を担う広報ビギナーさんたちと一緒に、会社を盛り上げる広報やPRのあり方について考えていきます。
これから、どうぞよろしくお願いいたします!